それから十年位して、“ア”というのはこういうことか、“カ”はこういうことか、というのが理解できた。それはどうして分かったかと申しますと、石上神宮の布留之言本ヒフミ四十七文字(ヒフミヨイムナヤコトモチ ロラネシキルユヰツワヌ ソヲタハクメ カ ウオエニサリヘテ ノマスアセヱホレケ)、このなかの“カ”を普通ならソヲタハクメカと続けてしまう。
その時に“カ”の意味が「カァーッと心に焼き付いて一度見たら忘れられない、焼き火箸を真っ赤に焼いたのをまちがって触れてしまったら、「アチーッ!」って、もう二度と忘れない、“カ”はどういう子音なのかを感じることが出来た。その感じ方で物事を見ますと夕日は真っ赤で自分が吸い込まれそうになる。
あれを“ヘ”とか“ス”とかでは表現できません。なるほど、“カ”でなくてはならない、こうだから“カ”にしたというような生易しいものじゃない。赤色は目に焼きつくような色、他の色は赤色のように焼きつくような色ではありません。
2008.apr.談話
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